00.フリダシニモドル

2013年02月15日 16:35

――俺の中で、全てが終わった。

――俺の中で、勝敗がついた。

――俺の中で、全てにケリがついた。

確かに、俺はこいつに負けた。全力を出した。はずだった。

だが、最後までその背中を追い越すことが出来なかった。

追い越したかった。

過去と決別するために。

――俺の過去。

1人の少女。

守りたかった。

守られていた。

閉ざされた、未来。

運命に抗った。運命に挫けた。運命を呪った。

――運命なんてものを作り出した愚者を潰してしまおうと思った。

そのために越えなければならなかった存在。

俺の弟。

身に余る巨大な力を宿した故に、孤独までも抱えることになった青年。

孤独を破り、全てを守る力を手に入れた青年。

こいつも、戦った。

己の運命と。

そして、俺は。

そんな脆弱な完璧人間の未来のために。

そんな脆弱な完璧人間に追いつくために。

――消える。

これで、1勝1敗。

そして一旦俺の勝ち逃げだ。

決着は、またいつか。

自分の身体を。

青年の生命に。

変換。

脇に立っている少女の顔は悲しみに曇っている。

――そんな顔すんじゃねェよ。

――大切な人を取り戻してェんだろ。

俺の全てを青年にぶつける。

それはつまり、死。

やはり、走馬灯というものは見えてしまうもので。

生を捨てる青年が死にゆく合間。

死に向かいつつある青年が生を取り戻す合間。

消えかけた青年は、過去に思いを馳せる。

――悲しみと絶望の|過去《ヒャクネンマエ》へ。