00.フリダシニモドル
――俺の中で、全てが終わった。
――俺の中で、勝敗がついた。
――俺の中で、全てにケリがついた。
確かに、俺はこいつに負けた。全力を出した。はずだった。
だが、最後までその背中を追い越すことが出来なかった。
追い越したかった。
過去と決別するために。
――俺の過去。
1人の少女。
守りたかった。
守られていた。
閉ざされた、未来。
運命に抗った。運命に挫けた。運命を呪った。
――運命なんてものを作り出した愚者を潰してしまおうと思った。
そのために越えなければならなかった存在。
俺の弟。
身に余る巨大な力を宿した故に、孤独までも抱えることになった青年。
孤独を破り、全てを守る力を手に入れた青年。
こいつも、戦った。
己の運命と。
そして、俺は。
そんな脆弱な完璧人間の未来のために。
そんな脆弱な完璧人間に追いつくために。
――消える。
これで、1勝1敗。
そして一旦俺の勝ち逃げだ。
決着は、またいつか。
自分の身体を。
青年の生命に。
変換。
脇に立っている少女の顔は悲しみに曇っている。
――そんな顔すんじゃねェよ。
――大切な人を取り戻してェんだろ。
俺の全てを青年にぶつける。
それはつまり、死。
やはり、走馬灯というものは見えてしまうもので。
生を捨てる青年が死にゆく合間。
死に向かいつつある青年が生を取り戻す合間。
消えかけた青年は、過去に思いを馳せる。
――悲しみと絶望の|過去《ヒャクネンマエ》へ。