記事のアーカイブ
03.荒ぶる紅き槍
2014年01月23日 15:22
舗装された道をしばらく歩くと、村の入り口が見えてきた。
「やっと着いたね、リッカ!」
「ようやくゆっくり休めるわ……」
「テメェら俺の飯代しっかり払ってくれるんだろうーな?俺、お前らに会う前に、財布を猿に盗られてから、いざというときのためのなけなしの金しかもってねーんだぞ」
「いくら?」
「あと硬貨が三枚」
「何も買えそうにないわね……」
「前の町で最後の金で頼んだ俺の飯が燃やされてひっくり返されたんだよ!」
「……
01.槍使いと魔法使い
2014年01月23日 15:21
かつては霧の町、ロンドンと呼ばれたこの地には、とある1つの伝説が語り継がれていた。
裏路地を抜けて、ひたすら人目のつかない建物の裏を抜けていくと見つかる公園の広場、そこには――
――雄々しくも美しい、紅い、ひたすら紅い長槍が、大地に突き刺さっているのだという。
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ヨーロッパのとある平原、青髪の青年は、片手に槍を引っさげて、体中を傷だらけにして、トボトボ歩いていた。
やつれて生気のない顔を見ると、どうやらまともな食事をしばらく取っていないようだ。
それでも
満身創痍の英雄伝
2014年01月23日 15:06
遥か昔、まだ日本が開国してすらなかった頃、ヨーロッパにて、一人の勇者が立ち上がった――
蒼い髪を後ろで束ね、深紅の瞳は生を見据え、その目と同じ深紅の長槍を握り締め、『アイルランドの英雄』は大地に立つ。
持ち前の不幸(幸運E)に翻弄され、満身創痍になってもなお、青年は魔女狩りから優しげな雰囲気の少女を助け出す。
そして親友の身を案じて駆けつけた金色の美少女に――魔法で吹き飛ばされた。
D.C.ⅢとFate/stay...
60.Dear my family
2014年01月23日 15:01
光に包まれて――
龍雅と光雅は、陽光の光と共に空へと羽ばたいていった薄紅色の光の龍の放つ眩い光に包まれて、気が付けば、知らない空間へと飛ばされていた。
しかし、不安な気持ちにはならない。むしろ、温かいような、懐かしいような気分だった。
桃色の桜の花びらが舞い散る、真っ白な空間。
そこで兄弟は、二人きりだった。
お互いに、正面に向き直ることはできない。
光雅はそうでもないのだが、龍雅には、それができなかった。
散々苦しい、辛い思いをさせてきた弟に、今更温かく迎えてもらいたくはないと、少し悲観的になっていた。
「なぁ、兄さん」
da capo<最終話>
2014年01月23日 15:01
しんしんと桜の花びらの舞う中、1軒の大きな古い木造建築の家があった。
ごく一般的な住宅街の中、このような古風な建築物は、雰囲気的に異様としか思えない。
住人がいるのかどうか怪しいところだったが、そこには間違いなく人が住んでいた。
金髪碧眼の老婆。
しかし、老婆という程醜くもなく、むしろ美しく、どこか高貴さを感じさせるような女性だったと言える。
その老婆が、今は茶を啜りながら家の縁側でのんびりとしていた。
見上げれば庭の隅に桜が咲いており、風が少しずつ花びらを運んでいく。
しかしいくら運ぼうと、その薄紅色は途絶えることを知らない。
永遠に終わりそうもない夢の空
59.キミにささげるあいのマホウ
2014年01月23日 15:00
立夏にとって、隣に立って自分の手を握ってくれている龍雅の姿は、今まで見てきたどの龍雅よりも逞しく、そして強く見えた。
龍雅は、自分がいつも彼を引っ張ってくれたと言っていた。
しかし、今はどうだろう。自分の隣に立って、共に同じ場所に立って、同じ目的を共有している。
もしかしたら、それだけでなく、本当のところは立夏の方が龍雅に引っ張られているのかもしれない。
こんな世界もあるのだと。自分はこんな世界を見せてあげることができるのだと。
全てのきっかけは彼だった。
幼いころから、誰か、運命の人がいたような気がしていた。
ずっと探し求めてきた。誰かは分か
58.運命の対角線
2014年01月23日 14:59
その目には、未来が見えていた。
いつまでもどこまでも、彼が知ろうとすればするほど、時間は先へと伸びていた。
ずっと先にある行き止まりを見届けようとして、先へと進んでいった。
途中で左右に分岐路があったが、それさえも無視して先へと進んでいった。
しかし、進んだ先に待っていたのは、何もかもが滅び、漆黒の空が世界を包み込む、世界の終わりだった。
何度も何度も、他の終わりを探し続けた。
いつも、どこに向かおうと、この世界は終わってしまう。未来など、どこにもなかった。
誰にも分からない未来など、ありはしない。
所詮は、諸行無常。どんなものであれ、いず
57.舞台裏の東奔西走
2014年01月23日 14:58
光雅は空にいるシグナスを、そして龍雅を仰ぎながら、懐かしそうに笑顔を零していた。
その側に立夏たちが駆け寄る。
幾つもの困難を潜り抜けてきた、大人としての風格を持った男性と女性。
その足音に気付き、光雅たちは背後を振り返り、立夏たちを見た。
「ああ、自己紹介くらいはしておかないとな。俺は弓月光雅」
「弓月?」
聞き覚えのある、馴染みのある苗字を耳にして、清隆は自分の耳を1度疑った。
他のみんなも同様に驚いているらしい。
「ああ、あそこで親子喧嘩してる兄さんの、弟だよ」
56.反撃の絆
2014年01月23日 14:58
思う存分に魔力を放出しながら、敵を睨む龍雅。
ただ悠然と佇み、出方を窺うでもなく龍雅を見据えるシグナス。
どちらも寸分たりとも動かない。
まるで、動いた瞬間勝負が決まるかのような、必殺の一撃、その間合いを計っているようにも見える。
静寂の中で、ただ魔力の流れだけが感じられる、張り詰めた空気の中で、立夏たちはただそれを見上げていた。
誰もが、龍雅は負けないと信じて。この戦いが、無事に龍雅の勝利で終わり、そしてこれからもみんなで一緒に未来を歩んでいけると信じて。
――プツリと。
張り詰めた糸が一瞬にして切れる。
55.終わりの始まり
2014年01月23日 14:57
今、全ての準備が整った。
立夏、シャルル、姫乃、葵、さら、清隆、さくら、龍雅の7人は、全員で枯れない桜の下に集結していた。
物語の原点であり、常に物語の中心にあった存在。再びそれをきっかけに、事件は幕を開ける。
最後の戦い。審判の時。
――さて、時間だ。
どこからともなく聞こえてくる声に、全員が身構える。
その声は、さくらと龍雅は既に聞いたことがある声だった。
全てを裏で操り、思うがままにシナリオをなぞり続けてきた人外の能力を持つ研究者。
「これ――何――!?」
悲
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