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02.無能と万能、ねじれの関係

2013年11月11日 22:44
 それからというもの、僕と天音さんの奇妙な関係は続いていた。  放課後にはいつも例の空き教室で合っているし、授業中にもたまに連絡が入っていた。『裏庭でお茶しないか?』と。ふざけるな。授業くらい真面目に受けろと。それにいつの間に僕のアドレスを入手した。教えたことはなかったはずだ。  ツッコミどころは満載だったが、どうやら彼女も少しばかり常識離れしたところもあるためおかしな行動に走るのも無理もないかと無理矢理自己解決して納得させる。というより考えるのが面倒臭くなりそうだった。  何にせよ、そんな風に異性と要らぬやり取りをしていれば、男子仲間にすぐに目をつけられるものである。ましてや

48.思い出の先に

2013年11月07日 00:15
  しんしんと、桜が舞っている。 徐々に昇りはじめる朝日を受けて、桜の花びらの1枚1枚はほんのりと優しく照り輝いていた。 少女は大きな木の幹に体を預け、左腕をそっと宙に差し伸べていた。 開いた掌に積もる薄紅色の花弁。 家を出る前に義弟の様子を確認したところ、彼は彼の妻と、幸せそうな寝顔をしていたことを思い出す。 連れて行こうかとも思ったが、2人の時間は大切にすべきだと思い直した。 約束の時間はまだまだ先、昼の話になるが、早朝からここにいたのは、なんとなく、としか言いようがなかった。 何十年も共にしてきた、桜。 自分の名前もまた、自然とそれを連想

46.温かな団欒

2013年11月07日 00:14
初音島で流行っている噂、『幸せを呼ぶ夫婦』の調査は、壁にぶち当たってしまい難航してしまっていた。 島中を歩き回ろうにも見つからず、これと言って有力な目撃情報も1件のみである。これでは調べようにも全く手が出ないも同然である。 人海戦術を用いてしらみつぶしに探しまくるのも考えたが、どうにもそのための人員と時間が足りていなかった。 そのことに早くも気が付いてしまった龍雅は、別のことに興味を持ち始めた。 それが今回、この風見学園公式新聞部を驚かせることになる。   「鍋を食べたい」   ミーティングでふとそんなことを龍雅が意見する。 その一言

47.彼の想い

2013年11月07日 00:14
  風見学園公式新聞部に所属している瑠川さらは、実はもう1つ、女子ソフトボール部に所属、すなわち部活動を掛け持ちしていた。 彼女が飛び級で入学当初から付属2年に所属したこともあって、同学年であっても年上が多い環境に放り込まれた彼女にとって、学園生活は肩身の狭いものであった。 その時に初めて清隆に声を掛けてもらったこともあって、さらは清隆に頼るようになる。 彼女が学園生活に馴染むにあたって、まずは部活動をどうにかすることにした。 確かに公式新聞部には所属しているものの、それだけで仲間の輪が広がるとは到底考えられない。 そこで彼女の主張もあって、さらはソフトボ

45.実在する魔法

2013年11月07日 00:13
龍雅はさらと姫乃を『花より団子』から離し、ある程度行った所でストップした。 あまり人通りの多くない、というより全くない細い道。 先程の事故の喧騒も既に聞こえなくなっていた。   「あの、龍雅先輩……」   姫乃が怯えながらそっと龍雅を呼ぶ。 それに応えるように龍雅も苦笑しながら姫乃たちに振り返った。   「姫乃たちも気付いたんだろ?今のが、魔法だよ」   「魔法、ですか……」   今の違和感の正体を理解したものの、まだ納得のいかないような顔だった。 事実、彼女たちは前世の彼女たちとは違

43.新聞と噂話

2013年11月07日 00:12
さて、当然のことだろうが、龍雅が公式新聞部に入ったことは、学園でもある程度大きな騒ぎになった。 理由としては大きく2つ、1つは、清隆が1人ハーレム状態にあった公式新聞部に新しく男子が入部したこと、そしてもう1つが、その男子生徒というのが、あろうことか今月編入してきた転入生で、更に学園のアイドルと称される森園立夏に目をつけられ、挙句の果てに知り合って間もないはずなのに妙に親しいと来た。 学園の男子生徒たちからしたら、新入りの分際で先を越されたという謎の敗北感に苛まれ、龍雅自身、眼つきは鋭く恐ろしいところもあるが、基本的にある程度整った顔立ちをしているため、女子生徒たちからしても、それ

44.仲間との親睦

2013年11月07日 00:12
その週の週末、龍雅はさらと姫乃と共にバイト先の喫茶店で集合していた。 というのもその目的は、例の『幸せを呼ぶ夫婦(めおと)』の調査である。 以前にさらと葵が手に入れた目撃情報及び体験談によって、その存在が彼女たちの中で明確になったのは調査するにあたってモチベーションは大きく弾んだ。 その話を聞いた龍雅は、何かが引っかかって、首を傾げていた。 もしかしたら偶然でもどこかで遭遇できるかもしれないという立夏の希望的観測の下で三手に分かれて行動することになっている。 1つは清隆と葵。初音島の東側を担当。 シャルルと立夏は島の西側を担当している。 そして残った龍雅とさらと

42.そこにある笑顔

2013年11月07日 00:11
その日の放課後。 話の続きということで、立夏から同じ部屋、すなわち公式新聞部部室に来るように連絡を受け、授業終了後早速準備を終わらせて教室を出た。 通ってきた道順を思い出しながら辺りを見渡し、歩いている最中に目に入ったものの記憶を頼りにその部屋まで辿り着く。 ノックをすると、入室の許可が下りたので、ドアをスライドさせて中に入る。 そこにいたのは無論森園立夏だった。   「待たせたな」   「いいえ、早い方じゃない」   「そうか」   適当に空いている席に座り、同時に立夏が準備した茶を受け取って一口啜る

40.運命の再会

2013年11月07日 00:10
――あたしはこうして安心して過ごすことができるんだよ。   それは弟を可愛がる姉のような存在で。   ――で、でも、あと10分――ううん、5分だけ、こうしてちゃダメ?   それは兄を陰ながら見つめて慕う、妹のような存在で。   ――ほ、ほんとに、頼ってしまっても、いいですか?   それは、能力に反して、弱々しくて、小さくて、助けてあげたくなる存在で。   ――なんか、おにいちゃんみたいです。   それは、温かな笑顔を持つ、優しくて、癒しのある存在で。 少女たちは

41.過去と未来の狭間で

2013年11月07日 00:10
翌日、龍雅は昨日再会した金色の少女と共に、とある部屋で昼食をとっていた。 誘ったのは少女、それに半ば強引に連れて行かれる形で彼女に同行したのだ。   「お前、|こっち《・・・》でも人気者なんだな」   「そりゃそーよ。私を誰だと思ってるの?」   「おかげで編入直後にいきなり眼飛ばされてるんだけどこれはどうすればいい?」   「無視しとけば?」   今、目の前に凛とした姿勢で座っている少女、森園立夏は、この風見学園のアイドルと称されるほどの美少女である。 それこそ、一部の男子生徒からすれば話し
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