記事のアーカイブ

08.1人の人間として

2013年02月15日 16:45
肩で息をしながら、リッカは龍輝の部屋に入った。 鍵はかかっていなかったので、ノックをして返事を待ったのだが、それもなかったので、恐る恐るドアを開けると、その部屋のベッドには部屋の主が横になっていた。 龍輝を起こさないように慎重に歩み寄り、彼の表情を確認する。 その全身は包帯で巻かれており、かなり痛々しい姿だった。 それを見たリッカは、思わず目を逸らしそうになった。 魔法を使って軽く触診をしてみたところ、何者か――おそらくスライ・シュレイドだろう――に治療魔法を施してもらっており、怪我の具合はよくなっているようだった。 その触診で龍輝は目を覚ましたようだ。 &nb

07.『研究材料』

2013年02月15日 16:44
男「さて、今日も始めようか。」 目の前にいる男、名前は、シグナス・ルーン。『研究施設』のトップである。 そう、これから始まるのは、例の、学園サイドにすら知られていない、危険な『実験』なのである。 ちなみに、学園では、生徒会選挙の立候補期間が始まったらしい。 生徒会選挙に立候補できるのは、予科1年の各クラスから1名が代表となって、である。 今回は、A組からは葛木清隆、B組からはメアリー・ホームズ、C組からはイアン・セルウェイが出馬するようだ。龍輝としては、勿論清隆に勝って欲しいと思うのだが。 シグナスから、いつも手渡される、どういう物なのか全く説明を受けていないグローブを受け取り、それを右手には

06.≪女王の鐘≫

2013年02月15日 16:44
時間というものは、何故個人的な感情の状況でその進度が大幅に変わってしまうのだろうか。 そんなくだらないことを考えながら、龍輝は廊下を歩いていた。 彼にとって、暇とは、ある意味天敵である。だがしかし、授業中では誰とも遭遇することは出来ず。 そんな時。   ――カーン、カーン。   鐘の音が鳴り響く。これが≪女王の鐘≫だろうか? 時間的に恐らくそうだろう、と判断した龍輝は、駆け足で予科1年A組の教室に向かった。 その途中、A組のクラスマスターであるリッカと鉢合わせる。   「今のがそうなのか?」   「

05.人見知りなのかそうでないのか

2013年02月15日 16:42
――物を持ち上げて放すと、地面に落ちてしまうように。   ――水を掴もうとしたら、ほとんどが掌から零れ落ちるように。   ――空気を視認しようとしても、不可能であるように。   それは宇宙、というより地球の真理で、夜を越せば、必ず朝はやってくる。 冬では辛い、極寒の朝が。   「うぅ、さみぃ……」   ロンドンの地下にある風見鶏は、それこそ魔法の力で機構の調整はしているが、それなりに地上の気候に合わせて、調整をしているようだ。 つまり、地上が寒ければ、地下は少し寒い、ということになる。 &

04.晴れぬ霧と≪さくら≫の少女

2013年02月15日 16:41
――カラカラ。   ――カラカラカラカラ。   軽く乾いた音。   ――カラカラカラ。   ただ、それだけ。 何も見えない。 何も他に聞こえない。   ――いや。   見たくなかったんだ。 聞きたくなかったんだ。   ――途切れてしまう未来を。   だから。 だから、犯してしまった。 過ちを。 そして、分かっているのに、まだその過ちに縋り付いてしまう。 嫌だ。   ――死にたくない。  

03.喫茶店の看板娘

2013年02月15日 16:40
生徒会の仕事も一区切りがつき、約束どおりにフラワーズという喫茶店のようなところでご馳走になることになった。メンバーはリッカ、シャルル、巴、そして、龍輝。他の男子から見れば、さぞ羨ましいシチュエーションだろうか。だがしかし、龍輝にはそういった考えは一切持ち合わせておらず、彼自身別に一緒にいるのが全員男子でも良かったようだ。 3人が仲良くしゃべっているのを、少し後ろからなんとなく眺めている。そして、楽しそうだな、と、羨ましく思ってしまう。自分も仲間が欲しい、そう彼は常々思っていたのだが、彼を取り巻く様々な環境がその機会をことごとく潰してしまっている。なにしろ風見鶏の学生期間はほとんど『研究

02.風見鶏生徒会と青年

2013年02月15日 16:39
少女を助けてしばらく経つ。 彼はずっとグラウンドの木陰で昼寝をしていた。 勿論、先程興味本位で少女を助けたことなど全くもって覚えていなかった。 訊いてない名前などもってのほかである。   目が覚める。空の色はまだ変わっていない。が、昼休みからそれなりに時間が経ったらしく、時計を見ると、もう3時を回っていた。放課の少し前である。 とにかく今日は1日中暇なので、ちょいとあそこに遊びに行くことにした。   風見鶏生徒会室。 彼は自分の立場もあるため、生徒会室には何度も足を運んでいる。だから、生徒会長のシャルル・マロース、そして彼女が絶対の信

01.龍の眼を持つ青年

2013年02月15日 16:38
 おかえりなさい、未来の俺。 さぁ、命が尽きるその時まで、超高速で過去を思い起こしてもらおう。   ――自分の善行を。   ――自分の愚行を。   手に入れたもの。捨てたもの。 何を思って生きていた? 何を望んで生を終えた? そう、これは、幸せを踏みにじられ、悲しみと、苦しみを、繰り返し与えられ続けた、   ――そう、それはちょうど、ダ・カーポのように繰り返された、   1人の青年と。   1人の少女へ。   2つの絶望へ向けられた、終焉への|

ex.オリジナル主人公紹介

2013年02月15日 16:37
○姓名 上代 龍輝 (かみしろ...

00.フリダシニモドル

2013年02月15日 16:35
――俺の中で、全てが終わった。 ――俺の中で、勝敗がついた。 ――俺の中で、全てにケリがついた。 確かに、俺はこいつに負けた。全力を出した。はずだった。 だが、最後までその背中を追い越すことが出来なかった。 追い越したかった。 過去と決別するために。 ――俺の過去。 1人の少女。 守りたかった。 守られていた。 閉ざされた、未来。 運命に抗った。運命に挫けた。運命を呪った。 ――運命なんてものを作り出した愚者を潰してしまおうと思った。 そのために越えなければならなかった存在。 俺の弟。 身に余る巨大な力を宿した故に、孤独までも抱えることになった青年。 孤独を破り、全てを守る力を手に入れた青年。
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